沖元かおる個展-OPERAN-に行ってきました
沖元かおる個展-OPERAN-を見に、銀座にあるギャラリーSTAGE-1に行ってきました。最寄りの駅ではありませんでしたが、地下鉄の京橋駅から、他のギャラリーに立ち寄りながら、ぶらぶらと歩いて行くと、左手に、古いレンガ造りのビルの前に、案内の看板が出ていました。

展示会場に入って、まず気が付いたことは、今回の個展には、バイオリニストを描いた作品が一枚もないということでした。沖元さん、と言えばバイオリニストの画家という印象が強かったので、意外に感じました。沖元さんご本人に伺ったところ、「バイオリニストは自分の中では、やり尽くした」とのことでした。
今回の個展のタイトル、OPERANというのは、スェーデン語でオペラのことだそうです。スェーデン滞在中にたまたま目にした、オペラのポスターからインスピレーションを得たとのことです。

この作品のタイトルは、シェイクスピアの「生きるべきか死ぬべきか」から来ているようです。二種類の色の異なるバラが描かれていますが、それぞれの作品の中にも、二種類のバラが異なる色と、片方は輪郭のみで描かれています。時間の流れを示すものかも知れませんし、生の中にも死があり、死のなかにも生がある、という二重性を意味しているようにも見えます。技法としては、透明なアクリル板の裏側に、異なる色で重ね描きされているようです。今回の個展の印象を一言で表すと、「対称性」ということでしょうか。

今回の個展では、バイオリニストは描かれていませんが、作品から弦楽器の音は聞こえてきます。「鏡の中の鏡」は、静かな深みを感じさせる音楽で、ピアノを伴奏にして弦楽器で演奏されるようです。この作品は左右対称に描かれていますが、バイオリンの音階のゆっくりとした上がり、下がりが時間に対して対称であるという、この曲の特徴が表現されているのかもしれません。

Dearというタイトルのオペラがあるのか、どうかは、知らないのですが、この作品も左右対称です。絵画の中に対称を持ち込むと、画面が安定するのかもしれませんが、そのかわりに、やや単調な印象も受けます。ところが、この作品は、表面がごつごつしていて、単調さを感じさせません。シンプルな曲ほど、楽器の音色そのものの美しさが際立つのに、似ているのかもしれません。沖元さんによると、マチエールを出すために素材としてセメントを使っているとのこと。製作中に、セメントが崩れ落ちてしまうこともあったそうです。沖元さんの発想の自由さ、大胆さと行動力は、モチーフが変わっても健在のようでした。