「音・空間・光」展に行ってきました

音・空間・光展を見に、国立アートスペース88に行ってきました。

JR中央線の国立駅南口、ロータリーの右側に沿って進み、横断歩道を渡って、マクドナルド横の商店街ブランコの路地の中を歩き、突き当りの直前、左手にギャラリーのしゃれた看板と展示の案内板が見えてきました。

OtoKukanHikari_02s アートスぺース88の看板
OtoKukanHikari_01s 音・空間・光展の案内

音・空間・光展は、空間をそれぞれのモチーフとして描く、(音)大藤滉平さん、(空間)YUMIさん、(光)阿部仁美さん、若手の油彩作家三人によるグループ展です。

ガラス張りの展示室に入ってすぐ左側に、まずをモチーフにした、大藤滉平さんの作品が目に入ってきました。
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 groove大藤滉平, F20 oil on canvas

無造作に塗られた赤色の下地の上に、クリーム色、茶色、灰色などの中間色のを連想させる無数のオブジェクトの断片が画面から飛び出すように、あるい渦巻くようにして描かれています。それぞれの断片のサイズと方向性は秩序だっているように見えながら、その秩序を微妙に崩すように、しかし決して崩し過ぎないように、注意深く描かれているようです。大藤さんは、ご自身がジャズプレーヤーでもあるとのこと。熱い情熱を内包しながらも、あくまで計算されたクールな音とリズムの組み合わせを、きっちりと構築しつつ、しかも時おり即興のアドリブを交えた、粋なジャズ演奏が今にも聴こえてくるようです。

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 heart大藤滉平, B3 oil on leather

この作品は、キャンバスではなく、本物の革の上に描かれています。革の色に合わせて、画面全体が落ち着いた色調にまとめられています。また、こちらでは、一つ一つのオブジェクトが絡み合うように、互いにまとわりつくように描かれています。いったい、どんな曲をイメージして制作されたのか、少々気になるところです。きっと都会的で洗練された曲ではないかと想像しました。なお、大藤さんは、財布などの革製品も制作されているそうです。革の扱いには手慣れているようですね。

次は、空間をモチーフに描く、YUMIさんです。YUMIさんは、昨年12月にJINEN GalleryYUMI個展も拝見しました。

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 home no.3YUMI, S100 oil on canvas

こちらは、展示室一階の正面に展示されていた100号の大作です。homeと名付けられた一連の作品は、ご自宅周辺の風景をベースにして制作されたとのことです。限られた色数と、思い切って大胆に単純化された形が、ゆったりとした安定感のある空間を構成しています。部分的に黄色も使われていて、効果的なポイントになっているようです。

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 spot no.1, 2, 9, 16, 17, 18, 19YUMI, F0 oil on canvas

うって変わって、2階の展示室に上がる階段の手すりに展示されている、一連の小作品(F0号)には、spotというタイトルがつけられています。YUMIさんにタイトルの由来についてお聞きしたところ、キャンパスの一点(spot)から描き始めて、心のまま、手の動きに任せて制作した作品、とのことでした。YUMIさんは、主にペインティングナイフを使って、制作されているそうです。

最後に、をモチーフに描いている阿部仁美さんの作品です。

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 Citrus fruits in Jeju阿部仁美, 400 x 2000 mm oil on canvas

入り口右手の階段で二階に上がると、横長の作品が見えてきました。この作品は、韓国の済州島(Jeju Island)にあるデザートカフェの内装用の壁紙の原画として製作されたものだそうです。レモン、グレープフルーツ、オレンジなどかんきつ類の果肉を透過してくるをモチーフにされたとのこと。リゾート地のカフェで過ごす時間の中で、さわやかな甘さと酸っぱさが、口の中にじわりと広がってくるようです。

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 Reflection II阿部仁美, M10 oil on canvas

一転して、こちらは、無機質でシャープなの反射をイメージさせるモノクロのクールな作品です。油彩画であるにも関わらず、まるで写真を思わせるような、画面のすみずみまで行き届いた、丁寧な仕上がりとなっています。印象派などとは全く異なるアプローチで、の粒子に特有な極微で繊細な触感を感じさせる、独特な世界観の構築を試みているかのようです。阿部さんは、引き続き2月にも個展を開催する予定だそうです。次は、いったいどんな作品を見せていただけるのか、今から楽しみです。