シェル美術賞展2017に行ってきました
「シェル美術賞展2017」を見に、国立新美術館に行ってきました。
今回は、同時開催されている主要な企画展がなかったためか、全体的に人が少ない感じで、その分ホールが広く感じられました。一階の奥の1B展示室で「シェル美術賞」の看板を見つけました。
いずれも力作ぞろいでしたが、中でも気になった作品をいくつかご紹介します。
加賀谷真秀さんの「rhythm」という作品は、4人の子供が楽しげにドラムをたたいています。軽やかな音が聞こえてきそうです。タイトルの「リズム」から、ホドラーの「良きリズム」を連想していまいましたが、ホドラーよりも、明るい色彩と軽いタッチです。

松本宙さん「都市の綻び、記憶の綻び」の画面の中央に川が流れていて、その向こうに古い家並みや工場が描かれています。果たして、いつの時代の何処を描いたものなのか、気になりました。戦争中に描かれたという松本竣介の「Y市の橋」を連想しました。雰囲気が似ているようにも思いますが、時代がずいぶん違うようです。

竹内優文さん「浴場」は、昔の銭湯の洗い場がリアルに描かれています。それにしても、あちらこちらが痛んでいるところまでリアルです。蛇口もそれぞれ違う形。それでも、昔は、多くの人が訪れて、毎日の疲れをいやしていた様子が妙に偲ばれて、不思議な感じです。

YASUKA.Mさんの「金環日食」は、鉄板の錆びで描いたものだそうです。そもそも鉄錆びで絵を描こうという発想にびっくり、鉄錆びと金環日食という取り合わせも不思議ですが、どんな素材を使ってでも、アート作品にしてしまう力量に感服しました。

杉浦彰彦さんの「現実」は、おじいさんが椅子に座って、こちらをにらみつけています。足は白く抜けているし、手は赤い線でかたどられているし、顔半分も赤くなっていて、画面のところどころ絵の具は垂れています。それでも、妙に存在感があり、こちらの心の奥まで見透かされているようです。どこかで見た顔だなと思ったら、白隠のだるまに似ているようです。

YUMIさんの「build」は、画面の大半が大胆にも、四角い形状に同じ色で塗られています。わずかに塗り残された領域から、下塗りの色がのぞいています。最小限の少ない色数と、単純に見える画面構成から、三次元的な空間の広がりと、地層のような時間の積み重ねが、じんわりと、しかもゆったりと、感じられるようです。そういえば、昨年のちょうど今ごろ、JINEN Galleryで開かれたYUMIさんの個展に伺ったことを想い出しました。
