第23回岡本太郎現代芸術賞展に行ってきました。

川崎市岡本太郎美術館で開催中の第23回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展に行ってきました。時はおりしも、新型コロナウィルスの感染者が国内外で毎日のように拡大中。行こうか、行くまいか、さんざん迷ったのですが、この時期、やっぱりこれを見逃すわけにはいきません。で、行ってみると美術館の受付の方、監視員の方、皆さんがマスクを着用されていました。厳重警戒の中でのTARO賞展です。

岡本太郎美術館前、階段下のポスター

作品を一通り見ていたところ、偶然、岡本太郎さんご本人とばったり会いました。「今年も来ましたよ。」「よく来たな」という声が聞こえたような。いやいや、よく見ると、これは立体作品です。どこかでお目にかかったような。そういえば、昨年の、神奈川県美術展でもお会いしましたね。

村上力さん、「一品洞『 美術の力』」

昨年のTARO賞でも、段ボールを素材にした作品に妙に感心したりしたのですが、今年も段ボール製の作品がありました。彩色してあるのでわかりにくいのですが、段ボールにアクリル絵の具で色をつけているそうです。最近、アマゾンで買い物をするようになってから、以前よりも段ボールが身近に感じられるようになってきました。アマゾンだから南米風なのか、あるいはポリネシア風なのか。

本濃研太さん、「僕のDNAが知っている」

素材といえば、こちらは建築現場の足場に使うような鉄パイプに、木材、それと断熱材を組み合わせて作った立体作品です。モチーフは青木繁の「海の幸」のようです。 力強い感じはするのですが、神話から題材をとったという神々しさというよりも、あるいは獲物を捕らえた高揚感というよりも、 何故だか痛々しい感じがして、確かに青木繁の絵画作品となにがしかの共通点があるかもしれません。段ボールとは一味違った素材のリアリティを感じてしまいました。

丸山喬平さん、「幸について」

暗室に入ると、中央にはミロのビーナスの表面に蛍光で光る紐が貼られている作品が置いてありました(暗かったせいか、写真はピンボケになってしまいました)。コンピュータの中で三次元の立体をモデリングするのに、ワイヤーフレームという方法があるようです。この作品では実物の三次元立体作品を作っておいて、それをわざわざ手間ひまかけて、コンピュータの中の3次元作品のように見せかけているのです。一体何のため? コンピュータの場合、マウスをクリクリするといろいろな角度から立体を見ることができます。もちろんこの作品でも、作品のまわりをぐるりと回ると、いろいろな角度で作品をみることができます。良くできていますね。当たり前といえば当たり前なのですが。たぶんコンピュータの場合、能力には限界があるために、情報量を間引いているのだと思います。ひもの裏表をねじって貼るとメビウスの輪というものができますが、これは二次元、これは三次元と分類して、安心してなどいられないようになっている。それにしても、アーティストにはアーティストなりのやり方(DNA)があるようです。

森貴之さん、「View Tracing」

こちらはとても良くできた木彫の作品です。人物はバーチャルリアリティー用のメガネをかけていて、両手にもったコントローラで、何かを操っているらしいのですが、観客にはこの人が一体何を見ているのか、何を操ろうしているのか、まったくわからない。ただ、首の角度や手や足の動きから想像するのみ。この作品でも、仮想世界と現実世界が、メビウスの輪状態になっているようです。

村田勇気さん、「任意のアトリビュート」

こちらは、テーブルの上に無数のコインが積まれている、という作品です。コインは一見すると一円玉に見えますが、大きさはちょっと大きくて500円玉程度。表面には「日本国一円」とあるべきところが「日本国一丸」と書かれていて、発行年号のところが「一九八四+三十六年」と書かれています。2020年の東京オリンピックを国民一丸となって成功させよう、という意味と、ジョージオーウェルの未来を予言したといわれる作品「1984」がかけてあるらしいのです。

高島亮三さん、「1984+36」

この作品が作られていたころ、恐らくまだ新型コロナウィルスの問題などはなかったころかと思われますが、今となってみると、いつの間にか、予定通り東京オリンピックの開催されるのかどうか、危ぶむ声もちらほら聞こえてきます。この難局を乗り越えるためには、文字通り「日本国一丸」になる必要があるようなのですが、「一丸」の意味が少々変わってきているようでもあります。この作品のように皆がピッタリくっついてしまったままでは、濃厚接触者になって感染が一気に拡大しかねません。一人一枚は持って行っても良いとのことでしたので、一枚だけ引き離して、微力ではありますが、感染リスクの低減(オリンピックの開催)に貢献させていただきました。