20th DOMANI・明日展に行ってきました
「20th DOMANI・明日展」を見に、国立新美術館に行ってきました。
「DOMANI明日展」というのは、「新進芸術家海外研修制度(文化庁)」を使って海外で研修を積んだ若手芸術家の成果の発表会で、今回が20回目なのだそうです。展示会場の入口には、「全作品撮影OKです」との表示がありました。昨年度とはルールが変わったようです。時代の流れでしょうか?
田中さんは、フランスのパリに派遣されたようです。パリに移ってから、絵のスタイルが変わったとのこと。異文化と接した影響でしょうか? この絵は、一枚の絵の中に「変化前」と「変化後」とを同居させて描いてみたのかもしれません。パリといえば、19世紀後半、西洋の画家たちが、一斉に日本の絵画に影響を受けた「ジャポニスム」を思い出しました。田中さんは、日本人なのに、パリに行って初めて、浮世絵のような線画に目覚めたというのは面白いですね。
この絵をみると、葛飾北斎の「北斎漫画」を思い出しました。一人一人の動きが楽しい。田中さんは、「現代の北斎」なのかもしれませんね。
三宅砂織さん、「The missing shade 40-1」、56 x43 cm.
三宅さんは、Y氏が残された、アルバムやスクラップブックなどからモチーフを得て、写真の技法で作品を制作されています。Y氏というのは1913年生まれとのこと。おじいさんか、ひいおじいさんの世代でしょうか? Y氏は、1936年に開催された、ベルリンオリンピックに体操の選手として出場されたとのこと。今でもそうですが、当時としても、恐らく大変な名誉なことだったに違いありません。
三宅砂織さん、「The missing shade 35-1」、56 x43 cm.
ところが1936年のベルリンオリンピックは、別名ヒトラーのオリンピックとも言われており、その後、1939年からは第二次世界大戦が始まっています。オリンピック選手だったY氏も、戦争のために一兵士となられたようです。軍隊の中でも、尺八を吹く機会があったかと思うと、少しは気持ちが和むような気がします。
おりしも、「DOMANI明日展」の会期中に、お隣の韓国では、冬季オリンピックが開催。その一方では、戦争の足音が聞こえてくるようなできごとが、次から次へと報道されています。どうか、歴史が繰り返さないように、と祈るばかりです。
これは、ずいぶんたくさんのカラスが描かれた絵ですね、と、うっかり通り過ぎるところでした。ちょっと、展示の仕方が、変わってますね、しっかりと木の枠に固定されている。絵の厚さが6 cm?、ちょっと厚いですね。
中谷さんのこの作品は、実は絵ではありませんでした。黒いカラスは、黒い半透明の樹脂でできています。しかも、この樹脂は、画面から飛び出しているのではなく、画面の奥に埋め込まれていました。気が付いてみると、えっ、とびっくりです。思わず、あらためてすべての作品を見直してしまいました。
作り方は、粘土で型を作って、石膏を流し込んで、できたくぼみに樹脂を入れて固める…..何とも手間のかかる技法のようです。とはいえ、絵の具ではこのような光の屈折、透過を使った表現はできないので、手間をかけた分、その効果は確実に現れているようです。
それから、樹脂が固まる際の硬化収縮は問題にならないのか?とか、型を使うならば、ブロンズのようにいくつかの作品の複製が可能なのだろうか?とか、作品を鑑賞するには余計かもしれない疑問もふと頭をよぎってしまいました。




