ACT ART COM-Art & Design Fair 2017を見にアートコンプレックスセンター(The Art Complex Center of Tokyo)に行ってきました。
JR総武線の信濃町駅から、慶応大学病院の入口を左手に見ながら、外苑東通りに沿って、てくてくと歩き、ACT ART COMの看板が見えたところで、左手に折れて、住宅街の路地に入り、アートコンプレックスセンターの建物の前に出ました。いつ来ても、この建物の形には、ちょっとびっくりさせられます。
ACT ART COM展入口の看板
アートコンプレックスセンターの建物
ACT ART COMというのは、才能豊かな若手のアーティスト達を、世の中に広く紹介することを目的として開催されているそうです。展示会場は、地下一階と二階に分かれていました。まずは、地下の展示場を見てみることにしました。
ちょうど梅雨の季節、街中にも、紫陽花の花があちら、こちらで咲いています。アートコンプレックスセンターの建物の前にも紫陽花が咲いていました。そんなこともあって、KURUM’ART contemporaryのブースでは、淡い色調で描かれた、紫陽花の花が目にとまりました。白い背景に、紫陽花の一つ一つの花びらが丁寧に描き込まれています。ちょっと、植物学の標本として描かれている図鑑を想い出しました。そういえば、紫陽花の花びらに見えているところは、植物学的には、「がく」に相当するそうですね。
稲田早紀さん、「聴こえる、はじまりの音に」 318x410mm
作家の稲田早紀さんは、今回展示のために、わざわざ大阪からいらっしゃったそうです。お母さんが庭でいろいろな花を育てておられるとのこと。近くには、黄色いミモザの花を描いた作品も展示されていました。この作品のタイトルは「あなたの日に」。あなたというのは、花を育てられている、お母さんのことかもしれませんね。
稲田早紀さん、「あなたの日に」 158x227mm
少し先のブースでは、枠に納められた、シンプルな形のオブジェが展示されていました。
石川将士さんの作品
作者の石川将士さんによると、これは金属でできているもの、鋳物の技法で作られるそうです。この作品については、素材は鉄で、溶かした鉄を鋳込んで作られてるとのこと。さらに、黒い色をつけるため、お茶で煮込むのだそうです。するとお茶に含まれるタンニンが発色して黒くなる。江戸時代の女性がお歯黒と、同じ着色の原理なのそうです。
石川将士さんの作品
鋳物なので、同じ型を用いれば、いくつも同じ形の作品ができるとのこと。中央に、先ほどの作品と同じ形のものが見えますが、他にもいろいろな作品が、同じ枠のなかに配置されています。ちょっと、お菓子の詰め合わせをイメージしてしまいました。ちなみに、いろいろな形に見える作品は、実は皆、モチーフはもともと「人」なのだそうです。銀色に見えるものは素材がアルミニウム、金色に見えるものは、素材が真鍮なのだそうです。
さて、二階の展示会場では、女性の顔を描いた作品が、たくさん展示されているという印象を受けました。
その中で、ちょっと変わった形の立体作品が目にとまりました。
佐伯裕圭さん, 「もしもし座の姉様」
女性といえば女性のようではありますが、顔にくちばしが付いているようです。三日月の端っこに、ちょこっと腰をかけて、電話をかけている。いま流行りのスマートフォンではなく、昔ながらの固定電話の受話器(しかも黒いタイプなので、アナログ電話か?)のようです。いったい、誰と、何のお話しをしているのでしょうか? 上から吊り下げるという展示方法が、作品の浮世離れした雰囲気を、さらに際立たせているようです。
作者の佐伯裕圭さんによると、もともとは焼き物の作家さんだとのこと(壁際には、焼き物の作品も、たくさん展示されていました)。最近、焼き物ではない、新しい技法に取り組んでいて、「もしもし座の姉様」は、その一例なのだそうです。
佐伯裕圭さん, 「うきて、えがたきもの、朝まだき黄金色」
こちらの女性は、くちばしこそ付いていないようですが、頭の形がとがっていて、ちょっと宇宙人風です。タイトルから、日の出の時間帯の太陽を擬人化した作品かもしれないと思いました。「非売品」とありましたので、記念すべき大切な作品なので売れないのかと、佐伯さんにお尋ねしたところ、「まだ新しい技法で、この先50年、100年と、作品がもつ保証ができないので、売ることはできません」、とのお答えでした。さすがに焼き物の作家さんならではの考え方ですね。
こちらの作品は、石膏の型から作るので、同じ形の作品を作れるとのこと。写真の中央の作品と、左側の作品は、同じ型から制作した色違いなのだそうです。そういえば、こちらの作品の素材は「紙」だとのことですが、色の塗り方が独特で、ちょっと焼き物の絵付けを連想しました。