Archive for the ‘グループ展’ Category

2020 New Year Space2*3 取り扱い作家小品展に行ってきました

日曜日, 1月 12th, 2020

KURUM’ART contemporaryの車さんから案内メールをいただき、「2020 New Year Space 2*3 取り扱い作家小品展」に行ってきました。地下鉄の三越前のA1番出口から、てくてく歩いて10分ほど、ギャラリーの前の小道に小さな看板が置いてありました。

展示会場に入ると小さな展示室の四面の壁をいっぱいに使って、所せましと小さな作品が展示されていました。小さい作品とはいえ、どれもこれも、力作ぞろいです。しかも、それぞれの作家さんの個性が、それぞれに表現されているようで、とても楽しい展示でした。

展示会場(入口の右)
展示会場(正面の右側)
展示会場(正面の左側)
展示会場(奥)
展示会場(入口の左側)

会場ではINTERART7の小林さんと、作家のナカミツキさんが在廊中でした。ナカミツキさんは京都教育大学の4年生で、在学中からすでに作家活動を始められているそうです。「バタフライコード」という展示作品について、直接いろいろなお話を伺うことができました。

ナカミツキさん、「バタフライコード」

この作品は、コンピュータで製作したものをキャンバスに印刷したものなのだそうです。ただし一つの作品は一度印刷したら、データを削除するので、同じ作品は一つしか作らない、とのことでした。ナカミツキさんはご自身で楽器の演奏もするそうで、この作品は、ライブハウスでのジャズ演奏中にその場で描いたそうです。明るい色使いと、勢いのある線から、いかにも楽しそうな演奏の様子が伝わってくるようです。

ちなみに、家に帰ってから「バタフライコード」で検索してみたら、アニメーション「デジモンアドベンチャー」のオープニング曲「Butter-Fly」で使われていたギターのコード進行のことらしいことがわかりました。曲を聞いてみると、確かに楽しいリズミカルな音楽です。

もしかしたら、ナカミツキさんご自身が、コンピューターを自由自在に操って、魔法のような作品を次から次へと生み出しつつ、きらめくアート界をご機嫌な蝶のように舞っている、デジタルモンスターのお一人なのかもしれませんね。

仁科新・幸恵展に行ってきました

火曜日, 11月 12th, 2019

代官山のGallery 子の星で「仁科新・幸恵展」を見てきました。
仁科新さんと幸恵さんはご夫婦です。この何年かは、同じギャラリーで奥様の幸恵さんの個展を拝見してきました。昨年の個展は8月で、とても暑い日でした。今回は二人展。2016年12月のコートギャラリー以来。久しぶりなので、ご主人の新さんの絵をゆっくりと拝見することにしました。

会場の入り口

奥さんの幸恵さんは、かわいい子供など、人物画や動物、お花や果物の絵が得意のようです。一方、ご主人の新さんは、山や湖、川などの風景画がお得意の様子です。展示会場に入って、左側の壁にはご主人の絵が展示されていました。

仁科新さん「夕映え」

新さんは、埼玉県の秩父出身とか。秩父と言えば周囲を山に囲まれていて、特に石灰岩で有名な武甲山のふもとにあります。夕暮れ時の山の輪郭が印象的。

仁科新さん「fog」

山の絵にもいろいろな描き方があるように思います。北アルプスや富士山を描くとなると、くっきり、はっきりとした輪郭を強調したくなるかと思いますが、新さんの山は、どちらかというと低い山。空気に湿り気を感じるような山が多いようです。空と陸との境目のあたりがうっすらと赤く色づいています。はるかな下のほうに、白く光るのは人家でしょうか?

仁科新さん、水彩画

おや、奥の小部屋にも絵が展示されていました。こちらは、水彩の小品。油絵も良いですが、こちらの明るい水彩の小品も良いですね。

仁科新さん、水彩画

絵葉書の大きさの手描きの水彩画がたくさん。クリアファイルの中の作品から、思わず一枚購入しました。横浜の山下公園の氷川丸かと思います。後日友人に見せたところ、「15000円くらいか?」と言っておりました。実際のお値段は…でしたが。

仁科新さんの水彩画

未来抽象芸術展に行ってきました

火曜日, 7月 9th, 2019

「 未来抽象芸術展-芸術家の挑戦-新しい芸術は、小さなチャレンジから生まれる」を見に、全労済ホール/スペース・ゼロに行ってきました。新宿駅の南口改札を出て、甲州街道沿いから一つ裏道に入った角のところに会場の入り口を見つけました。 15人の作家が「チャレンジ」をテーマにして制作した作品が展示されているそうです。

展示会場の入口と案内板

展示会場に入ると、ちょうど作家のタシロサトミさんのアーティストトークが、作品の前で始まったところでした。

タシロサトミさん、relationship #19

タシロさんご本人の説明の後、この絵のモチーフについてお尋ねしてみました。最初のころは古びた靴やバッグなどをモチーフにして描いていたのですが、だんだんと抽象化されていって、具体的な物ではなくなっていったのだそうです。とはいえ、抽象化された後も、依然として使い古されたものへの愛着を表現したいという気持ちは変わらないそうで、タイトルの”relationship”には、持ち主と物との関係、という意味もあるそうです。作品の厚みは物の存在感や物質感を強調するのに役立っているようです。鮮やかな原色ではなく、中間色を使っているのもそのため。角が丸くなっているのも、使っているうちに、だんだんと丸みを帯びてくる様子を表現したいのだそうです。

作品の裏側

作品の反対側に回ってみると、意図的にされたものかどうかはわかりませんでしたが、ガラス越しに裏側も良く見えるように展示されていました。角を丸めるところにずいぶんと苦心された痕跡がみられます。なかなか、この作業は大変そうだ。

さて、その隣の展示スペースには丸いテーブルのようなものが置いてありました。テーブルの上には、何やらいろいろなものが、所せましと置いてありました。

日比野猛さん、「在る世界(archetype)」

作家の日比野猛さんによると、会期中ここで作品を実際に制作しているところなのだそうです。真ん中にあるプロペラは、絵の具を乾かすためのもので、電池を接続するとちゃんと回るところを見せてくださいました。その下に漏斗のようなものがありますが、ここに余った残りの絵の具を流すと、下のガラス板に溜まっていずれ自然に乾くのだそうです。左手前の丸みを帯びた板は、型のようなもので、これで同じサイズの作品を何枚も作っているのだそうです。

設計図?

その横には設計図のようなものがありました。かなり精密に計算されているようですが、元となっているのはフィボナッチ数列だとのこと。考えようによっては、数学も抽象表現の一形態といえるのかもしれません。そしてその横には、何故だか裸婦のスケッチがいくつか…。この曲線の形は裸婦のイメージでもあるそうです。わかったような、わからないような…。できあがった作品もさることながら、制作のプロセスや道具のほうもかなり面白いですね。

気が付くと、少し離れた場所では、片桐十三夏さんによるアーチストトークが始まっていました。

アーティストトーク中の 片桐十三夏さんと作品「変化」

大理石の壁に自然光が差し込んで、複雑な形の作品の陰影が、立体感をさらに際立たせているようです。よく見ると作品の表面にも、わずかに窪んだところがありました。溶剤を使うと、表面が少し溶けて窪みができるのだそうです。この作品の制作にあたっては、まずはホームセンターで発砲スチロールを買ってきて、自分でカッターを使って切断するところから始まるそうです。

今日お会いした作家さん達のお話から、抽象的なイメージを表現をするために、具体的な素材や道具と格闘している様子が伝わってきました。表現したいものが抽象的であればあるほど、逆に素材やプロセスについては具体的な物に依存する度合いが強くなっているように感じられたのは、意外でした。 自分の頭の中にしかないイメージを、他の人にできるだけ忠実に伝えるためには、何らかの形で物質を仲介させる必要があり、それは制約といえば制約になっているのかもしれないのですが、何をどのように利用して表現するのか?というところが、それぞれの作家さん達の腕の見せ所であり、オリジナリティーにもなっているようです。既製品であふれている時代にあって、イメージを表現するため、だけのために、気の遠くなるような手間ひまをかけて、物質と格闘し続けているのが、現代アーティストという人たちなのかもしれません。

東京五美術大学連合卒業・修了制作展に行ってきました

土曜日, 3月 2nd, 2019

東京五美術大学連合卒業・修了制作展を見に、国立新美術館に行ってきました。今年は、どんな作品に出合えるのか楽しみです。

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入り口の看板

先日、Taro賞で段ボールで作った作品を拝見したばかりのせいか、今回も段ボールの作品が気になってしまいました。素材として段ボールを選択する理由が、リサイクルができて地球にやさしいから、というよりも、もっともっと積極的な意味がありそうな、なさそうな。

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鴇田拓真さん「自然体2」

なぜか、ポーズが良く似ている作品を見つけました。右手をだらりと下げて、左手は後ろ側に回しています。顔もちょっと似てるかな。ただし、かかとは、裸足で両脚とも少し浮かし気味。

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土井原裕一さん「ヒト」

一方、裸足のかかとを浮かした、ふくらはぎばかり描いた作品も見つけました。

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小島七海さん「あしなみ」

かかとを上げているバレリーナの絵もありました。ドラマチックな感じがして、ちょっとだけ、ロバートハインデルを思い出しました。

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渡邊真由子さん「行手」

こちらの方は、かかとが無いためか、尻尾をちょいと上げて、宙に浮いていらっしゃる。

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山本果希さん「PRINCESS OF ABYSS」

こちらは、野菜や食パンが、ふわふわと宙に浮いている感じがします。

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中屋胡桃さん「専用キャンバス」

いつも、油彩画の写真撮影は難しいなと感じています。油断していると照明の光が絵の表面で反射して写ってしまう。こちらの作品は、それを逆手にとって、プロジェクタから光を当てて、その反射を作品の一部として利用しています。面白いな、と思いました。

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上野真希さん「かさねる」

語る抽象画展 vol.8でヘンミモリさんの作品を見てきました

日曜日, 2月 3rd, 2019

A.C.T (アートコンプレックスセンター)で「語る抽象画展 vol.8」を見てきました。本当は、KURUM’ART Contemporaryの車さんから、 ご案内をいただいて、「アートディレクターセレクション−今一押しの抽象作家展−」というグループ展を見に行ったのですが、展示会場には車さんも作家の方もおられなかったので、同時開催中の「語る抽象画展」をぶらぶらと、あてもなく拝見してきました。

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入り口の案内板

2階に上がって、どちらの会場でも、なかなか面白そうな作品がたくさん展示されていたのですが、あいにく時間帯が良くなかったのか、なかなか作家の方とお話しはできませんでした。

そんななかで、最後に入った展示会場で、作家のヘンミモリさんが声ようやくをかけてくださいました。

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ヘンミモリさんの展示

ヘンミモリさんの作品は、他の作家さんの作品とは異なって、透明な板に描かれています。透明なアクリル板の上に、アルコールインクや蜜蝋を使って描いているそうです。色は鮮やかなのですが、いったい何が描かれているのか、判然としません。抽象画なのだから、当たり前かもしれません。一応、モチーフが何かあるのかお聞きしてみましたが、特にないそうです。描き始めるときに、何かイメージがあるのかお聞きしましたが、これも特にないとのこと。弱ったなアと思っていたら、「でも描いているうちに、ちょっと、実家の庭に似ているかなあ、とか思うことはあります。けっこう庭が好きなんです。」と、助け舟をだしてくださいました。宮城県石巻市のご実家には、けっこう広い庭があるそうで、その庭が好きだったそうです。

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溶食, Erosion, 2018, 273 x 220 mm

そう言われてみると、この作品には、ちょっと庭の植物のイメージがあるかもしれません。透明な部分はアクリル板そのままで、不透明な部分には蜜蝋を使っているそうです。お好きなお花は何かお聞きしてみたところ、「ポピーです。道端に生えてるようなやつ。」そういえば、ヘンミモリさんの言葉の端々から、道端に生えている雑草のような、転んでもただでは起きないというような、逞しさ、頼もしさを感じました。作品も生き方も、なかなかに、あっぱれです。

薬師寺希実・大和春子展に行ってきました

日曜日, 6月 24th, 2018

Kurum’art Contemporaryの車さんからご案内のメールをいただき、AAC-ACT ART COM-Art & Design Fair 2018という、アートフェアの「薬師寺希実・大和春子展」に行ってきました。

アートコンプレックスセンター/ACTに行くのは久しぶりなので、迷わずにたどり着けるか、少々心配だったのですが、JR信濃町駅から歩いて行くと、表通りから脇道に入る曲がり角には案内板が出ていたので安心しました。

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 案内板

脇道に曲がってしばらく歩くと、左手に独特な外観の建物が見えてきました。今年も紫陽花がきれいです。

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 会場入り口

会場は地下と二階に分かれていました。地下の会場に降りて、一番奥まで行くとKurum’art Contemporaryのブースがありました。ブースの前で車さんが迎えてくださり、そこで作家の大和さんと薬師寺さんを紹介してくださいました。

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 大和春子さん、June 2018,no.1

大和さんの作品は、白い背景に、緑や赤灰色などで、何かが描かれているようなのですが、何が描かれているのか判然としませんでした。そこで大和さんご本人にモチーフは何かお聞きすると、日常生活の中からモチーフを選んでおられるとのこと。ポートフォリオも見せていただいたのですが、下絵もたくさん描かれているようです。この絵の場合は、通勤電車の窓から見た風景から着想を得た、とのことでした。

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 大和春子さん、June 2018,no.2

説明していただいても、今一つよくわからなかったので、こちらの作品は?とお聞きすると、こちらも通勤電車で見かけた人物をモチーフにされたとのことでした。そういえば、椅子に座って居眠りをしているおじさんに見えるようなみえないような。いつも電車で居眠りばかりしているおじさんとしては、こんな風にみられているのかな、と、ちょっと身につまされます。

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 薬師寺希実さん、獲物

こちらは薬師寺さんの作品。こちらも背景は単色です。男の子が釣り針に引っかかって釣り上げられているようです。不思議といえば不思議です。隣にいらっしゃった薬師寺さんにも、モチーフについてお聞きして見ました。すると日常の中の「無」をテーマにしておられるとのことでした。何か禅問答のようです。

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 薬師寺希実さん、途絶えた交信

こちらは女性がテーブルに向って腰掛けているようなのですが、なぜだか椅子が描かれていません。日常生活の中でいかにもありそうな風景を、何か別のものと組み合わせてみたり、当然あるはずのものが一つ欠けただけで、ちょっとシュールな非日常が現れてくるようです。ただし、単に荒唐無稽な非日常が描かれているだけかというと、それだけでもなさそうです。人物の外見をきれいに描いた絵には決して現れてこない、面白味と、スパイスのきいた、少々のほろ苦さとが入り混じって、むしろ、よりリアルに表現されているようにも感じられました。

第41回五美術大学連合卒業・修了制作展に行ってきました

土曜日, 3月 3rd, 2018

平成29年度第41回、東京五美術大学、連合卒業・修了制作展を見に、国立新美術館に行ってきました。国立新美術館では、若手の海外研修生の作品を紹介するDOMANI・明日展も同時開催中でした。会場のあちこちで、若手作家たちの熱気が溢れかえっています。
Gobidai_2018_01  五美大展のポスター
東京五美術大学というのは、武蔵野美術大学、多摩美術大学、女子美術大学、東京造形大学、日本大学芸術学部、のこと。毎年この時期に卒業製作の作品を展示しています。

Gobidai_2018_02 戸井李名さん、Mt.Fuji、武蔵野美術大学

タイトルから推測すると富士山をモチーフにした作品です。富士山と言えば、日本を代表する山。2013年には、世界文化遺産にも登録されました。昔から、富士山は多くの画家によってさまざまに描かれてきましたが、こんな風に富士山を描いた絵は珍しいのではないでしょうか? 葛飾北斎もびっくり。このようなベラボーな作品は、もしかするとTaro賞が似つかわしいような気がしました。

Gobidai_2018_03 西原澄乃さん、fluid、武蔵野美術大学

女性が泳いでいます。肌に波紋がまつわりついています。一切、他のものは描かれていないので、すっきりした画面構成であると同時に、水面の模様は複雑です。羽衣伝説の天女のようにも見えます。そういえば、羽衣伝説で有名な三保の松原も富士山世界文化遺産の一部でしたね。

Gobidai_2018_04 Yumiさん?、武蔵野美術大学

なぜか、作品名の表示がありませんでしたが、この絵は間違いなく、Yumiさんだと思います。Yumiさんは、シェル美術賞2016、2017に2年連続で入賞されています。ペインティングナイフを使って、シンプルに安定的な三次元空間が表現されています。

Gobidai_2018_05 岡田聡平さん、武蔵野美術大学

ずっしりとした構造物がていねいに描かれています。そう簡単には動じないぞ、という強い意志と安定感を感じました。

Gobidai_2018_06 小野仁美さん、透き色を待つ、武蔵野美術大学

この作品は、オーガンジーという布とアクリル絵の具を何層も重ねて描かれているそうです。そのために内部で光の干渉がおきて、モアレ模様がみえています。というようなお話しを、同時開催中のRoppongi α Art Week「小野仁美展」の会場(六本木605画廊)でギャラリーの方に教えていただきました。

Gobidai_2018_07 MU Ziyueさん、顔、多摩美術大学

女性の顔が大きく描かれています。瞼に目が描かれているらしく、本当は目を閉じている、らしい。口の中に半透明に見えるものを加えており、口の周りが濡れている、らしい。インパクトのある作品です。

Gobidai_2018_08米山里々花さん、くさっ…。、多摩美術大学

こちらの作品では猫の顔が大きく描かれていて、迫力があります。猫の目が何かを訴えかけています。

Gobidai_2018_09 杉山愛莉さん、大猫行列、女子美術大学

こちらは、猫の立体作品。40体ほどの白い猫が、2本足で歩いています。よく見ると、一つ一つ表情が違っていて、しかもリアルです。あっぱれです。

他にもたくさん、面白い作品、素晴らしい作品を、拝見しました。あまりにも作品数が多いので、全部はとてもご紹介できません。みなさんありがとうございました。そして、卒業おめでとうございます。

六本木αアートウィーク2017 – 「阿部仁美展」に行ってきました

日曜日, 2月 26th, 2017

六本木αアートウィーク2017阿部仁美を見に、六本木605画廊に行ってきました。

六本木αアートウィークというのは、国立新美術館周辺にあるギャラリーが共同で、五美術大学卒業制作展とほぼ同じ日程で開催するアート・イベントで、現役美術大生や卒業して間もない若手作家の作品を紹介するのが趣旨とのこと。参加している4つのギャラリーは、Shonandai MY Gallery(湘南台画廊), Hideharu Fukasaku Gallery Roppongi, KURUM’ART contemporary, Gallery Lara Tokyoで、いずれの会場も国立新美術館から歩いて10分もかからない程の近さでした。

このうち、阿部仁美展が開催されている六本木605画廊は、国立新美術館の近くのカサ グランデ ミワという茶色いレンガ色のビルの6階にありました。通りに面して案内板が出ていないので、ちょっとわかりにくかったのですが、思い切って建物の入り口の奥に進み、突き当り左手にあるエレベータで6階へ、605号室の扉にギャラリーの案内版がありました。

Roppongi_alpha_Art_Week_01 展示会場の入口

扉を開けると、中は二室に分かれていて、右手の部屋ではGallery Lara Tokyo主催のその奥にあるものと題して石部汐里さん、金子綾さん、三輪奈保子さん、古木宏美さんのグループ展(皆さん、東京造形大学の学生さんだそうです)が開催中、一方、左手の部屋ではKURUM’ART contemporary主催の阿部仁美展が開催されていました。展示会場では、KURUM’ARTの代表者、車洋二さんに出迎えていただきました。車さんには、昨年11月にリキテックスEXPO作品保護レシピと題する講演をお聞きしました。そのときには、絵画作品の維持管理についてのお話でしたが、今日はもう一つ、ギャラリストとしてのお顔です。

Roppongi_alpha_Art_Week_05s Reflection 2, 反射2, 530 x330 mm.

阿部仁美さんは、光の反射をテーマにしたReflectionシリーズの作品を多く描いています。今年1月にも音・空間・光展と題して、国立のアートスペース88でグループ展を開催されました。そのときにもをモチーフにした作品を展示していました。

Roppongi_alpha_Art_Week_03 Four Seasons – Autumn, 四季-秋, 190 x 333 mm.

一方、こちらは四季と題する4部作のうちの一枚というタイトルがついていますが、モチーフとしては、上の作品とほぼ同様のようです。ただし、こちらの作品は、いくぶんソフト・フォーカスで、しかも着色されているので、少々やさしい感じを受けました。

Roppongi_alpha_Art_Week_04 Good Friend, 仲良し, 227 x 158 mm.

かと思えば、一点だけ、こんな作品も。ほっぺたのあたりが、うっすらと赤らんでいて、とてもかわいい。そういえば、おでこのあたりが少しだけっているかも…。

なお、イベントに参加している展示会場をすべて回って、パンフレットにスタンプを4つ押していただくと、プレゼントがいただけるという企画。出展している作家さんたちのポストカード、11枚をいただきました。それぞれ、皆さんなかなか個性的な作品でした。

五美術大学連合卒業・修了制作展に行ってきました

日曜日, 2月 26th, 2017

平成28年度第40回、東京五美術大学、連合卒業・修了制作展を見に、国立新美術館に行ってきました。

国立新美術館では、草間弥生展が始まったばかりで、展示会場の前では、たくさんの人が入場待ちの列を作っていました。

Gobidai_2017_00 五美大展のポスター

東京五美術大学というのは、武蔵野美術大学多摩美術大学女子美術大学東京造形大学日本大学芸術学部、のこと。ポスターに描かれた5本の指は、五つの大学を意味しているようです。

草間彌生展の賑わいをよそに、エスカレータで二階に上がり、先ず武蔵野美術大学の展示会場に入ってみました。どれもこれも、大作、力作ばかりです。

Gobidai_2017_01 武蔵野美術大学、版画専攻、藤井和恵さん、a.i.o

こちらは、4枚組の版画の作品のようです。それぞれ1枚ずつでも独立した作品として成り立つようですが、4枚並べても一つの作品として鑑賞できるようになっています。色合いも、構成も、繰り返しは一切使わず、なかなか洗練された感じ。

Gobidai_2017_02 女子美術大学大学院、日本画研究領域、溝口まりあさん、竦む

大きな金色の月を背景に、黒猫が不敵な笑いを浮かべているようです。黒猫の目も金色。よく見ると、背景の月には、なぜだか猫の影が映っています。お見事。

引き続き、1階の展示会場です。

Gobidai_2017_03 日本大学芸術学部、絵画専攻、坂本春樹さん、自画像

実物大の自画像のようです。何もない背景の前に、黒い作務衣のようなものを着て、立っています。右手には絵筆。作務衣は絵の具で汚れています。今まさに作画中という感じ。直球勝負がすがすがしい。でも、左手にもっているのはスマートフォン、というあたりが、いかにも現代的です。

Gobidai_2017_04 多摩美術大学博士前期課程、彫刻専攻、櫻井隆平さん、RUSH

色とりどりの人の頭部が、ベルトコンベヤーに載って次々に運ばれている。色は違っていても、顔の表情は、全員、同じような薄ら笑いを浮かべている。本当にうれしいのでしょうか? タイトルはRUSH、毎朝毎晩、通勤電車に乗っているものにとっては、いささか、身につまされるような思いです。石田徹也の世界観に通じるところもありそうです。

Gobidai_2017_05 東京造形大学、三輪奈保子さん、Winter dust no.3

黒い線が格子状に描かれているだけのシンプルな構成ですが、線の太さや、色の濃淡、にじみ方の違いで、立体的に見えるところが、面白い。

ご紹介したい作品は、まだまだ、たくさんあったのですが、とても紹介しきれません。若いエネルギーと、一生懸命さとに、ただただ脱帽するばかり、圧倒される思いがしました。皆さんお疲れ様でした、そして、これからも、頑張ってほしいです。

なお、各大学の展示会場の受付では、五大学の全作品の出品目録を配布していました。これは良い記念になりそうです。

「音・空間・光」展に行ってきました

日曜日, 1月 22nd, 2017

音・空間・光展を見に、国立アートスペース88に行ってきました。

JR中央線の国立駅南口、ロータリーの右側に沿って進み、横断歩道を渡って、マクドナルド横の商店街ブランコの路地の中を歩き、突き当りの直前、左手にギャラリーのしゃれた看板と展示の案内板が見えてきました。

OtoKukanHikari_02s アートスぺース88の看板
OtoKukanHikari_01s 音・空間・光展の案内

音・空間・光展は、空間をそれぞれのモチーフとして描く、(音)大藤滉平さん、(空間)YUMIさん、(光)阿部仁美さん、若手の油彩作家三人によるグループ展です。

ガラス張りの展示室に入ってすぐ左側に、まずをモチーフにした、大藤滉平さんの作品が目に入ってきました。
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 groove大藤滉平, F20 oil on canvas

無造作に塗られた赤色の下地の上に、クリーム色、茶色、灰色などの中間色のを連想させる無数のオブジェクトの断片が画面から飛び出すように、あるい渦巻くようにして描かれています。それぞれの断片のサイズと方向性は秩序だっているように見えながら、その秩序を微妙に崩すように、しかし決して崩し過ぎないように、注意深く描かれているようです。大藤さんは、ご自身がジャズプレーヤーでもあるとのこと。熱い情熱を内包しながらも、あくまで計算されたクールな音とリズムの組み合わせを、きっちりと構築しつつ、しかも時おり即興のアドリブを交えた、粋なジャズ演奏が今にも聴こえてくるようです。

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 heart大藤滉平, B3 oil on leather

この作品は、キャンバスではなく、本物の革の上に描かれています。革の色に合わせて、画面全体が落ち着いた色調にまとめられています。また、こちらでは、一つ一つのオブジェクトが絡み合うように、互いにまとわりつくように描かれています。いったい、どんな曲をイメージして制作されたのか、少々気になるところです。きっと都会的で洗練された曲ではないかと想像しました。なお、大藤さんは、財布などの革製品も制作されているそうです。革の扱いには手慣れているようですね。

次は、空間をモチーフに描く、YUMIさんです。YUMIさんは、昨年12月にJINEN GalleryYUMI個展も拝見しました。

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 home no.3YUMI, S100 oil on canvas

こちらは、展示室一階の正面に展示されていた100号の大作です。homeと名付けられた一連の作品は、ご自宅周辺の風景をベースにして制作されたとのことです。限られた色数と、思い切って大胆に単純化された形が、ゆったりとした安定感のある空間を構成しています。部分的に黄色も使われていて、効果的なポイントになっているようです。

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 spot no.1, 2, 9, 16, 17, 18, 19YUMI, F0 oil on canvas

うって変わって、2階の展示室に上がる階段の手すりに展示されている、一連の小作品(F0号)には、spotというタイトルがつけられています。YUMIさんにタイトルの由来についてお聞きしたところ、キャンパスの一点(spot)から描き始めて、心のまま、手の動きに任せて制作した作品、とのことでした。YUMIさんは、主にペインティングナイフを使って、制作されているそうです。

最後に、をモチーフに描いている阿部仁美さんの作品です。

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 Citrus fruits in Jeju阿部仁美, 400 x 2000 mm oil on canvas

入り口右手の階段で二階に上がると、横長の作品が見えてきました。この作品は、韓国の済州島(Jeju Island)にあるデザートカフェの内装用の壁紙の原画として製作されたものだそうです。レモン、グレープフルーツ、オレンジなどかんきつ類の果肉を透過してくるをモチーフにされたとのこと。リゾート地のカフェで過ごす時間の中で、さわやかな甘さと酸っぱさが、口の中にじわりと広がってくるようです。

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 Reflection II阿部仁美, M10 oil on canvas

一転して、こちらは、無機質でシャープなの反射をイメージさせるモノクロのクールな作品です。油彩画であるにも関わらず、まるで写真を思わせるような、画面のすみずみまで行き届いた、丁寧な仕上がりとなっています。印象派などとは全く異なるアプローチで、の粒子に特有な極微で繊細な触感を感じさせる、独特な世界観の構築を試みているかのようです。阿部さんは、引き続き2月にも個展を開催する予定だそうです。次は、いったいどんな作品を見せていただけるのか、今から楽しみです。