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第24回岡本太郎現代芸術賞展に行ってきました

土曜日, 2月 27th, 2021

第24回岡本太郎現代芸術賞展を見に、生田緑地にある川崎市岡本太郎美術館に行ってきました。新規感染者数は減少気味とはいえ、依然として緊急事態宣言継続中。美術館の入り口では検温、入場者はマスク着用でした。この一年のコロナ下、表現者たちは何を考え、何をしてきたのだろう?

岡本太郎美術館、生田緑地と母の塔

会場に入ると、キャンバスを背負った人が、何人かうろうろと歩いていました。これもまた「鑑賞者」というタイトルの作品の一部なのだそうです。新型コロナウィルスがまん延する中、お客さんになかなか絵を見に来てもらえない、だったら、絵の方から出向いて行ってお客さんに見てもらえばよい、という趣旨でしょうか? そういえば、明治か大正か、まだ日本に初めて画廊ができたばかりのころ、画商さん達は絵を背負って、お得意さんを一件一件回ったもんだ、という話を思い出しました。

「鑑賞者」加藤立さん、パフォーマーはゴッホのひまわりを背負ったひまわりさん

もちろん、このゴッホの「ひまわり」は複製品。本物は、戦前日本の芦屋にあったのだそうですが、戦災で焼けてしまったとのこと。さぞ残念だったでしょうね。ちなみに、この作品を背負った方は、作家ご本人ではなくてパフォーマーさん。なんと、このパフォーマーさんのご本名は、ひまわりさん、なのだそうです。私も絵を背負わせていただいて、記念写真を撮っていただきました。良い記念になりました。

「机上の誉-きじょうのほまれ-」藤田朋一さん

次に目についたのは、下から光をあてられた、半透明のプラスチック製の立体作品。パンフレットを読むと、旧日本軍が開発していた戦闘機用のエンジンがモチーフ、とのことです。良くできていますが、周囲につけられた赤いものは、神社の社や鳥居。エンジンのような工業製品であっても、有用性だけではなく、ものづくりに込められた精神性こそが大事。コロナ下の芸術家は、戦時中の技術者に共鳴するところを見出したようです。

「break on thorough」モリソン小林さん

美術館やギャラリーでは、絵画は普通、額に納められていて、それぞれが独立な作品として、別々のタイトルがつけられ、個々に展示されています。とはいえ、鑑賞する者としては、それぞれの独立しているはずの作品の間の相互の関係性について、勝手に想像を膨らませてみたりします。作者にとっては迷惑かもしれませんが、それが絵画鑑賞の楽しみの一つ。ところが、この作品は、額から植物の根っこが飛び出ていて、しかも、隣の作品とつながっているのです。作品と作品は、どこかでつながっていて当たり前。これはヤラレタ。

「Distance」黒木重雄さん

この一年間というもの、外出するのも控えめ、家にいる時間が長くなってしまいました。生活スタイルも大きく変わって、自然と触れ合う機会も大幅に減ってしまった。冷蔵庫や洗濯機の廃品の山に囲まれて、楽しそうに入浴する男女の姿に、「本当に楽しいのかなあ? 自分の一年もこんな感じだったのかなあ?」と、何故だか身につまされてしまいました。

ムンクのマドンナ

一通り入選作品を見回って、投票も済ませて、会場を出たところ、カフェテリアTAROの屋外テーブルで、ムンクのマドンナさんが和服姿で休憩中、お茶を召し上がっておりました。本当にお疲れ様です。

ヨコハマトリエンナーレ2020に行ってきました

日曜日, 7月 26th, 2020

ヨコハマトリエンナーレ2020を見に、横浜美術館に行ってきました。みなとみらい線のみなとみらい駅からエスカレータに乗って外に出ると、横浜美術館の建物が何か布のようなものに覆われていました。トリエンナーレは本当にやっているのだろうか?どこが入口なのだろうか?ひょっとして、これも展示の一部?

横浜美術館の正面。入口はどこ?

近くまで行ってみると、案内板があって、その横が入口になっていました。入口では一人一人、体温が測定されます。新型コロナウィルス対策です。36.1℃、無事に入館できました。ほっとしました。

入口横の案内版

会場の中に入ると、キラキラ反射しながら回転するオブジェクトが、無数に天井からぶら下げられていました。鏡に反射しているものもあるので、余計にたくさんあるように見えます。かすかな光でくるくると回転しています。ちなみに、一部の作品を除いて、写真撮影可とのこと。

「回転する森」ニック・ケイブ

二階の展示室を歩いていると、かわいいオブジェを見つけました。レーヌカ・ラジーヴさんの「サイボーグは敏感」という作品。よくよく見てみると「COVID GOD」との文字が書いてあります。「コロナの神様」っていうこと?そういえば、手の形が、コロナウィルスの表面についているという突起に似ているような…。その近くには「Carefree Covidiot Ascending to Heaven」という作品もありました。かわいい感じの作品ですけど、なかなか痛烈ですね。コロナと一緒に暮らしていくには、ただ単に怖がるだけでなく、こんな形でイメージ化してみるのも良い方法かもしれません。

「Covid God」レーヌカ・ラジーヴ

「Carefree Covidiot Ascending to Heaven」

いろいろと手の込んだ作品を見ていると、だんだん眼や頭が疲れてきました。作家さんには悪いけど、ちょっとやりすぎ。そんな中でシンプルな作品をみると、少々、ホッとします。

「チャイム」佐藤雅晴

「階段」佐藤雅晴

近くにいらっしゃった監視員さんから、「佐藤さんの作品について、ご本人が書かれたパンフレットがありますよ」、と教えられたので手に取ってみました。それによると、これらの作品は佐藤さんがガンで余命宣告されてから、亡くなるまでの間に制作された作品なのだそうです。それにしては、ずいぶんシンプルで静かな画面構成です。

「チャイム」という作品には、友人・知人がお見舞いに来てくれるまでは、体がだるくて面倒くさいなあ、と思っていても、いざチャイムがなると、やっぱりうれしい、というコメントがついていました。「階段」という作品は、一つ一つ作品を描いていたら、いつの間にか9つめになっていた。家の階段もちょうど9段、という説明なのですが、どうしても「天国への階段」というふうにも見えてしまいます。10個目の作品「Now」は、秒針がくるくる回るだけの作品でした。たとえ残された時間に限りがあったとしても、時は流れ続けていて、決して止まることはない。という声が聞こえてきそう。

何故、人は絵を描くのか? それには、いろいろな答えがありそうです。でも、ご本人が亡くなった後、こんな風に、作品は残っていて、何らかのメッセージを伝え続けてくれています。

滝本優美個展 「いろとかたちあそび」 を見てきました

月曜日, 9月 16th, 2019

滝本優美個展 「いろとかたちあそび」 を見に、大船フラワーセンターに行ってきました。JR東海道線の大船駅からバスで5分ほど、岡本というバス停の近くの日比谷花壇大船フラワーセンターに着きました。ちなみに前回、滝本さんの個展は、昨年8月、銀座の画廊でした。

日比谷花壇大船フラワーセンターの入り口

絵を展示したり、鑑賞したりするのは、美術館やギャラリーに限る、という法律や規則があるわけではないので、別に植物園でも構わない、とは思うのですが、果たして今回の個展はどんな風な展示になっているのでしょうか?

園内に入って、右側に歩いていくと温室がありました。この温室、グリーンハウスの中が個展会場らしいのですが…。本当にやっているのかな?

個展会場のグリーンハウス

温室の中に入ると、いろいろな植物に交じって、滝本さんの個展の案内板がありました。

温室内で見つけた滝本さんの個展案内

今回の展示では、あえて作品のタイトルは表示しないことにしたのだそうです。確かに、作品名を見てしまうと、安心して、それ以上絵を良く見ない、という傾向はありますね。


作品の展示風景

面白いのは、温室の中の植物には一つ一つ、名前が表示されていることでした。植物園だから当たり前なのですが…。植物も、名前を知って安心してしまうと、それ以上は良く見ない、という傾向がありそうですね。逆に、実物の睡蓮を見ながら、モネの絵を思い出したりしました。

滝本さんの絵からは、一体、何を連想するのか? いつもはタイトルを手掛かりにして、考えたりしているので、タイトルがわからないとなると、これは作品一点、一点、出たとこ勝負ですね。

温室内の池、モネは水中の草や水面に反射した木々まで描こうとしていました

広い温室の中で、作品はゆったりと、さりげなく展示されていました。ところどころ、椅子やテーブルもあって、休憩もできるようになっています。いつの間にか、いちいち作品と勝負しても仕方がないや、という気分になってきました。

作品の展示風景

と思っていたら、こんな展示場所もありました。温室の天井から、作品が紐でぶら下げているようです。満開の桜、あるいは満開のバラの花を連想しました。上のほうの作品はちょっと見ずらいのですが、作品数の多さは圧巻です。展示の仕方もアートですね。


作品の展示風景

直射日光が表面で反射して作品が見にくいとか、日光や温度で作品が劣化してしまうのではないかとか、もともと建物が作品を展示するようにできていないとか、心配すればきりは無いかもしれません。それでも、アート作品を植物園で鑑賞するのは、美術館やギャラリーとは違う気分や、面白さが、味わえるような気がしました。

調べてみると、例えば、ニューヨーク植物園でも、しばしば現代アートの展示会が開催されているようです。ちょっとスケールが違うようなので、あまり比較にはならないかもしれませんが…。

アート作品にとっても、植物園にとっても、まだまだ新しい可能性があるのかもしれませんね。まだまだ、やらなければならないことが、沢山ありそう、という意味かもしれませんが…。

Walking on a Street — Julian Opie

水曜日, 8月 14th, 2019

I have been to Tokyo Opera City Art Gallery to see the special exhibition of Julian Opie.


Entrance of the Special Exhibition by Julian Opie

On the walls of the huge gallery space, there exhibited large paintings of diversity of people, male and female probably walking on a street of a large city toward left or right directions. They are illustrated using black thick lines and uniformly painted using limited colors.

Walking in New York

It is difficult to identify their age or jobs. They seem walking toward their own destinations independently and isolatedly, one by one. While they happened to share time and space only by chance, they would never meet again in the future.

Walking in Boston

It might be in New York, Boston or London. But it would be very difficult to identify the name of city only from each painting without titles.

Street

Walking in Edo by Hiroshige

Let me compare the artwork of Julian Opie with a typical old Japanese print, ukiyoe by Hiroshige, illustrating people on a street in Edo, one of the biggest cities at that time.

Morning View at Nihonbashi/ Hiroshige

People walking on a street are also illustrated by black lines and uniformly painted using limited colors. But their occupations can be clearly identified, fish sellers or servants of a lord, so it is easy to imagine what they are going to do after the scene. The location and time could be also very clearly identified without title, on a street near one of the major bridges in the early morning just before the sunrise.

I am not sure the exact definition of contemporary art. But it seems very clear that Julian Opie is illustrating people who are sharing the contemporary world freely but isolatedly only by chance.

チャームスイート京王聖蹟桜ケ丘に行ってきました

日曜日, 4月 10th, 2016

チャームスイート京王聖蹟桜ケ丘を見学してきました。チャームスイート京王聖蹟桜ケ丘は、介護付きの有料老人ホームですが、アートギャラリーホームとのコンセプトで、在学中を含む若手作家の作品が数多く展示されています。入居の開始は5月からで、4月は現地説明会を開催中とのことでした。できるだけ他の見学の方のお邪魔にならないように、念のため、あらかじめ、前日に電話でご了解をいただいてから伺いました。

京王線の聖蹟桜ケ丘の駅から、桜の並木道を通って、大栗川を渡り、川沿いに歩くと、道の左手に見えてきました。建物は、大栗川と、背後のいろは坂に囲まれるように、建っていました。

チャームスイート_01ここが入り口. 後方のいろは坂にはわずかに桜の花も残っていました.

入り口で来客用のスリッパに履き替え、手洗いとうがいをしたのち、フロントを通り過ぎて、すぐのエントランスホールでは、清水彩也花さんの『花吹雪』と題する桜の大木を描いた絵、また、ロビーでは飯田文香さんの『春の宵』と題する二枚の桜の絵が、出迎えてくれました。黒い背景に白い桜の花が鮮やかです。桜ケ丘の地名にちなんで、桜の花をモチーフにした絵が選ばれたとのことでした。

桜をモチーフにした絵としては、他にも、寺澤澄夏さんの『春夏秋冬』の四枚組、大橋麻里子さんの『春に』、西方彩子さんの『春声』松原麻衣さんの『あなたに微笑む』なども印象的でした。

桜の絵ではありませんが、高橋瑞稀さんの『天狼星』や、和田宙士さんの『秋宵』、阿部仁美さんの『ひかり』も、コントラストや陰影が魅力的な絵でした。

他にも、保田莉奈さんの『ウミウシ』、小林大悟さんの『なまず絵』や、高橋萌奈さんの『とりもどき』、工藤華乃子さんの『お花がたくさんです』、田中萌奈美さんの『自慢のドレス-ボウシインコ-』は、心和む動物たちの作品でした。

渡部未乃さんの『水平線を望む』、石見彩花さんの『波打ち際』、横山晶世さんの『月と海』など海の風景画も素敵でした。

若手作家によるとはいえ、全体として、上品で粒ぞろいの作品たちが選ばれているとの印象を受けました。エントランスや食堂、廊下などなど、館内のいたるところに飾られた若手作家の作品が放つエネルギーが、これから入居されるであろう方たちの毎日の生活に溶け込んで、心のリズムを刻み、気持ちのアクセントとして息づく様子を、思わず想像してしまいました。本当に素晴らしい企画ですね。

6月ごろには作品集ができあがるそうです。楽しみです。